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M&A等組織再編

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Ⅰ.M&Aとは

 M&A(Merger and acquisition)とは、会社(買収会社)が、他の会社(対象会社)が保有する事業を承継したり、他の会社自体を取得したりする行為を指して使われます。
 M&Aを実行する方法としては、大きく分けて①対象会社の株式を取得する方法(買収)、②対象会社を合併する方法(結合)、③会社分割や事業譲渡によって対象会社事業を引き継ぐ方法(再編)があります。

Ⅱ.株式を取得する方法(買収)

1.株主から株式を譲り受ける方法
 対象会社の株主が保有する株式を売買等により取得する方法です。上場会社の株式を取得する場合は公開買付け(TOB)によることが多くなります。

2.募集株式の発行等を受ける方法
  対象会社において、第三者割当増資を行い、新たに発行する株式を買収会社に割り当てる方法です。

3.キャッシュ・アウト
(1)株式の併合
 例えば、買収会社が対象会社の発行済株式2100株のうち1400株を保有しており、他の複数の株主が残りの700株を保有している場合、対象会社において700株を1株とする株式併合を行います。すると、他の株主が保有する株式はすべて1未満の端数となり、この端数となった株式を一定の条件のもと買収会社が買い取ることができます。その結果、買収会社が対象会社の株式を100%保有することになります。

(2)全部取得条項付種類株式の取得
 (1)と同じ場合において、対象会社において、①種類株式発行会社になる旨の定款変更、②発行済株式すべてを全部取得条項付種類株式とする旨の定款変更、③全部取得条項付種類株式を取得する株主総会決議を行います。③において、全部取得条項付種類株式700株に対して、他の種類株式1株を割り当てるものとすれば、やはり他の株主が保有する株式は、1株未満の端数となり、一定の条件のもと買収会社が買い取ることができます。その結果、買収会社が対象会社の株式を100%保有することになります。

(3)以上の方法を組み合わせる方法もあります。その他、特別支配会社による略式株式交換、株式等売渡請求などの方法があります。
 なお、非公開会社において実施するキャッシュ・アウトが、少数株主の締め出しのみを目的とする場合、目的の不当性から無効とする見解もあるため、事業上の目的を持って行うことが安全と考えられます。

4.株式交換
 株式交換を用いる方法では、対象会社の発行済株式の全部を買収会社に取得させることで買収を実現させます。株式交換を実施するには、株主総会の特別決議が必要になりますが、株主全員の同意を得る必要はありません。
 対象会社の株主には、株式の対価として金銭等が支払われることが一般的です。

Ⅲ.合併・株式移転(結合)

1.合併とは、2以上の会社が合一して1つの会社になることです。当事会社のうち1社が合併後も存続し、他の当事会社から権利義務一切を承継するものを吸収合併といいます。当事会社がすべて消滅し、新たに設立する会社に権利義務を承継させる新設合併という方法もありますが、実務上は吸収合併が主流です。
 Ⅱの株式を取得する方法(買収)との大きな違いは、対象会社が消滅することです。Ⅱの方法では、株主が買収会社に変わるものの、対象会社は存続し続けますので、買収会社は株主としての責任を負うに止まります。一方、合併によれば、買収会社は対象会社の権利義務すべてを承継する結果、当事者としてあらゆる責任を負うことになります。

2.株式移転とは、1又は2以上の株式会社が、その発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいいます。新たに設立する会社が対象会社の持株会社となり、買収会社は持株会社の株主として間接的に対象会社を支配する構図になります。
 上場会社の経営統合などの場面で用いられる方法ですが、単独の会社を経営することと比べて決算手順が複雑になり、高い次元の経営能力が求められることから中小企業が利用するメリットは少ないと考えられます。

Ⅳ.会社分割・事業譲渡(再編)

1.例えば、製造業と運送業を営んでいる対象会社が、製造業は赤字、運送業は黒字であったとします。買収会社は製造業を営んでおり、対象会社の製造業部門を取得すればシナジー(相乗効果)により、事業の効率化・拡大等を図れるとします。すると、買収会社は対象会社の事業すべてではなく、製造業のみを承継したいと考えます。このときに用いるのが会社分割や事業譲渡です。

2.会社分割と事業譲渡とは類似していますが、次のような相違点があります。

(1)権利義務の承継
 会社分割の場合、買収会社は対象会社の一切の権利義務を承継し、債権者保護手続なども財産ごとに個別に行うのではなく、会社分割の手続きの中で一括して行います。
 一方、事業譲渡では、財産ごと、取引先ごとに個別に通知を行う等の必要があります。

(2)消費税
 会社分割は課税取引には該当しませんが、事業譲渡の場合、譲受資産に課税対象となる資産があれば課税仕入となります。

(3)登録免許税
 会社分割には軽減措置がありますが、事業譲渡には軽減措置がありません。

(4)実施に至るまでの手続き
 会社分割においては、吸収分割契約の締結だけでなく、株主総会での承認、公告などの債権者保護手続き、株主保護手続など様々な手続きを踏む必要があります。
 一方、事業譲渡では、一定の場合に株主総会の承認が必要になる場合もありますが、事業譲渡契約のみで足りる場合もあり、会社分割に比べて手続きは簡易であるケースが多くなります。