外国籍の方等の相続手続きに関しては、被相続人の有する国籍により適用される法律が異なり、必要となる手続きも大きく異なります。(法の適用に関する通則法第36条)
公証人の書類認証等が必要になるケースなどもありますが、比較的事例の多い韓国籍の方の相続について説明いたします。
法の適用について
遺言で指定がない場合は、被相続人の本国の法律が適用となります。つまり、韓国の民法に従い相続手続きを行います。
※以前に韓国籍を有していたが、死亡時点では日本国籍を有している場合は日本の法律が適用となります。
韓国の法律による法定相続人は次のとおりとなります。
①血族相続人
第一順位 直系卑属
第二順位 直系尊属
第三順位 兄弟姉妹
第四順位 4親等内の傍系血族
※第三順位以下の相続人は、被相続人に配偶者がいない場合に限り、相続人となります。
②配偶者
被相続人の配偶者は常に相続人になります。
被相続人の直系卑属及び直系尊属と同順位で共同相続人となります。
被相続人の直系卑属及び直系尊属がいない場合は、単独相続人となります。
適用される法律:法の適用に関する通則法第36条、41条
相続手続きに必要となる資料
1.被相続人の外国人登録原票の写し
平成24年に外国人登録法が廃止されましたが、廃止前の資料として外国人登録原票記載事項証明書を法務省出入国在留管理庁へ請求することができます。
2.家族関係証明書等
平成20年に韓国の戸籍制度が廃止され家族関係登録制度が創設されました。
当該制度においては、①家族関係証明書②基本証明書③婚姻関係証明書④入養関係証明書⑤親養子入養関係証明書の取得が可能となり、相続手続きにおいては、被相続人①~③及び法定相続人①の詳細証明書の提出が必要となります。
3.除籍謄本
平成20年家族関係登録制度前の除籍謄本(被相続人の出生から死亡まで)については、現在も取得することができ提出が必要となります。領事館経由で交付請求することとなります。
4.住民票除票
被相続人の最後の住所地を証明する資料として必要となります。
5.住民票
法定相続人の住民票が必要となります。
6.訳本
上記必要書類の翻訳を行い、訳本を提出します。
他、被相続人が生前に日本国籍を取得している場合は日本の除籍謄本・原戸籍を添付します。
相続手続きに要する期間
韓国籍の方の相続については、法務省へ外国人登録原票記載事項証明書の交付請求や領事館へ家族証明書及び韓国除籍の交付請求を行う必要があります。当請求は一般的に各1~2か月程度の期間を要します。そのため全体の手続きとしましては6か月程度の期間を要するものが多いでしょう。
相続手続きにかかる費用
相続登記報酬 70,400円
分割協議書等作成報酬 20,800円
相続関係説明図作成報酬 13,200円
登記資料調査報酬 2,200円
除籍・家族関係証明書等取得報酬 33,000円
翻訳報酬 1枚2,200円
他、以下実費が必要となります。
登記の登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)
証明書等資料取得の実費(数千円程度となる場合が多い)
※固定資産税評価額が2000万円以上となる場合や物件数が5筆以上となる場合は報酬が一部加算となります。事前に概算見積をさせていただきます。