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事務所コラム

時効(民法)について

民法には、一定期間権利を行使しないと権利が消滅してしまう消滅時効と、一定期間物を占有することで所有権等を取得することができる取得時効という制度があります。
 今回はこの時効という制度について書かせていただきます。


1.消滅時効
 債権は一定期間行使しない場合、債務者が時効を援用することによって消滅します。 
 借金も一定期間請求されない場合、時効を援用することによって、借金を返済する義務がなくなります。 

 1-1.時効期間
   権利を行使しないと権利が消滅する期間は、法律上いくつかの規定があ
  ります。例えば、

   民法第167条
    1.債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
    2.債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消
      滅する。

     商法第522条
       商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を
    除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他
    の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めると
    ころによる。

   借金は民法第167条第1項の10年の期間が経過しなければ時効によ
  り消滅しません。但し、貸金業者が法人であれば商法第522条が適用され
  5年の期間が経過すれば時効によって貸金債権は消滅します。

  1-2.債務の承認
   時効期間が経過する前に、債務があることを認めたり、借金の一部を弁済
  したりすると、時効期間の計算は振り出しに戻ります。
   また、時効期間が完成した後であっても時効の援用をする前に債務があ
  ることを認めたり、借金の一部を返済したりすると、時効を援用することが
  できなくなります。 
   これを債務の承認といいます。 
 


2.取得時効
 他人の物を、所有の意思をもって、平穏、公然に占有を継続すると、その他 人の物の所有権を取得することができます。占有開始時に善意・無過失であれば10年、それ以外は20年の占有継続が必要となります。また、消滅時効と同様に、時効の援用をしなければなりません。
 例えば、他人の土地を、暴行や強迫することなく平穏に、隠すこともなく公然と占有しているとします。他人の土地であることを知っている場合は20年間、知らないことに過失がなければ10年間占有を継続します。最後に本来の所有者に、自分の土地であることを主張すると所有権を取得することができます。



3.最後に
 消滅時効であれば、昔にした借金の請求書が突然送られてくることがあります。この場合、時効が完成していそうであれば慌てて返済する前にお近くの司法書士に相談することをお勧めします。
 取得時効であれば、長年占有していた土地の時効が完成していたとしても、本来の所有者は時効取得を認めてくれるとは限りません。トラブルになることもありえます。こちらの場合も、一度専門家に相談することをお勧めします。

2019年12月04日

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