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事務所コラム

土地家屋調査士に関連する不動産登記事務の取扱い等の改正点

昨今の不動産登記事務の取扱い等の改正点について土地家屋調査士に関連する主な項目を備忘録としてまとめました。

1 共有土地の分筆又は合筆
(令和5年3月28日法務省民二第533号)

共有者が共有物に変更を加える行為であっても、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(以下「軽微変更」という。)については、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することとされました(改正民法第251条第1項、第252条第1項)。
分筆又は合筆の登記については、軽微変更に該当し、分筆又は合筆の登記を申請しようとする土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人の持分の価格に従い、その合計が過半数となる場合には、これらの者が登記申請人となって分筆又は合筆の登記を申請することができ、それ以外の共有者らが登記申請人となる必要はないこととされました。所有権の登記がある土地の合筆の登記申請時に提供を要する登記識別情報は、登記申請人に係るもののみで足りることとされました。
なお、登記官は登記の完了後、登記申請人にならなかった共有者全員に対し、不登規則第183条第1項第1号に基づき登記が完了した旨を通知します。
また、区分所有法の適用がある建物の敷地の分筆の登記についても、上記と同様に取り扱うものとされました。


2 所在等不明土地(建物)管理命令があった場合の登記
(令和5年3月28日法務省民二第533号)

所有者不明土地(建物)管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明(建物)土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地(建物)管理命令の登記を嘱託しなければならないこととされました。
また、所有者不明土地(建物)管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地(建物)管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地(建物)管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならないこととされました。
なお、所有者不明土地(建物)管理命令と異なり、管理不全土地(建物)管理命令があった場合には、管理不全土地(建物)管理命令の登記はされません。


3 登記簿の附属書類の閲覧に関する規律の見直し
(令和5年3月28日法務省民二第537号)

何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類の全部又は一部の閲覧を請求することができることとされました(改正不登法第121条第3項)。
改正前は、請求人が「利害関係を有する部分」のみを閲覧できることとされていたところ、改正により、「正当な理由があるとき」とされました。
隣地その他の閲覧しようとする附属書類に係る土地についての筆界がその筆界に影響を及ぼすと認められる土地の所有権の登記名義人等が筆界確認の経緯等を確認するために筆界確認情報、不登規則第93条ただし書に規定する調査報告書や登記所備付地図作成作業の成果品である土地調査書の閲覧を請求する場合には、紛争が具体的に生じていなくても、「正当な理由がある」と認められます。


4 情報の提供の求め
(令和5年3月28日法務省民二第538号)

登記官は、職権による登記をし、又は不登法第14条第1項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、その対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいう。)に関する情報の提供を求めることができることとされましたが、(改正不登法第151条)この「職権による登記」には、不登法第28条の規定に基づいてする登記官の職権による表示に関する登記等が該当することとされています。


 

2024年07月12日
土地家屋調査士 測量士 北浦広大

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